
Column
効率化は「これから起きること」ではなく、すでに起きたことです。問うべきは次の質問——空いた時間で、人は何をするのか。
AI導入のご相談をいただくとき、最初に聞かれるのはたいてい「どれくらい効率化できますか」です。正直に申し上げると、この問い自体が古くなりつつあります。
私たちHUMEDITは、日本・シンガポール・フィリピンで医療とITの事業を運営しています。そのなかで、記事の下書き、競合サイトの分析、月次レポートの作成、問い合わせの一次仕分け——かつて担当者が半日かけていた作業は、いま数分で終わります。効率化は「これから起きること」ではなく、すでに起きたことです。
だから問うべきは、次の質問です。空いた時間で、人は何をするのか。
いま急速にAIへ移っている仕事には、はっきりした共通点があります。始まりから終わりまで、画面の中だけで完結するということです。
どれも、入力がテキストやデータで、出力もテキストやデータです。人間の身体も、相手の表情も、その場の空気も必要としません。だからこそ機械に渡せる。そして渡した瞬間、コストはほぼゼロになり、24時間動き、疲れることもありません。
この領域で人間が競争するのは、もう合理的ではありません。「パソコン作業が速い」という強みは、これから急速に価値を失っていきます。
では、AIに渡せない仕事とは何か。私たちの答えははっきりしています。相手のいる仕事です。
医療の現場を見ると分かりやすいと思います。検査データを読むこと自体は、いずれAIのほうが速く、正確になるでしょう。しかし、その結果を不安を抱えた方にどう伝えるか、迷っているご家族とどう向き合うか——ここは代わりが利きません。数字を伝えることと、人を支えることは、別の仕事だからです。
商談も同じです。提案書はAIがつくれます。しかし、相手が本当に困っているのは何か、言葉にしていない懸念はどこにあるのか。それは会って、聞いて、沈黙の意味を読み取ることでしか分かりません。
いずれも、相手が人間であることそのものが仕事の中身になっています。ここにAIは入ってこられません。
ですから私たちがお客様に勧めているのは、「AIツールの導入」ではなく人の配置転換です。
いま社内を見渡したとき、優秀な人ほど画面に向かっている時間が長い、という状態になっていないでしょうか。その時間こそ、まっさきにAIへ渡すべきものです。そして空いた時間を、顧客に会う、現場を見る、チームの話を聞くことに充てる。
コンピュータに向かう仕事は、これから確実に減っていきます。それは仕事を失うということではありません。人が人と向き合う時間を取り戻すということです。技術の役割は、そのための時間をつくることにあります。
HUMEDIT Singaporeは、AIの業務活用と、それによって生まれた時間の再配置をご支援しています。お問い合わせはこちら。